かぶせ物治療した歯をよい状態で長く維持するために大切なこと
かぶせ物治療した歯をよい状態で長く維持するためには、日頃のお口のケアはもちろん、どのようかぶせ物を入れたかいうことも重要になってきますが、その歯がどのぐらいむし歯が進行していてむし歯部分を除去した後、歯ぐきの上にどれだけ健全な部分が残っているかが実は重要なポイントです。
歯の根っこの方までむし歯が進行していてむし歯部分をとると歯ぐきの奥深くの根っこだけになってしまうことがあります。こういう状態でかぶせ物を入れると、しっかりとした土台がたてられなかったり、適合の良いかぶせ物を入れることができないため、歯に力がかかりやすくなり、根っこが割れてしまったり、かぶせ物が外れやすかったり、かぶせ物のまわりの歯ぐきに炎症が起こりやすくなったりします。
そのため、このような状態の歯は多くの場合「抜歯」となります。
長持ちするかぶせ物を作るには、かぶせ物が歯ぐきの上の健康な歯の部分をしっかり抱え込むことが大切で、最低高さ1.5mm、幅1mmが必要だと考えられています。かぶせ物を入れたとき、かぶせ物と自分の歯の接触する部分が大きいほど、歯へのダメージが少なくなります。
歯の長さが十分にあり、歯ぐきの下に健康な部分が十分に残っていて歯を支える歯槽骨がしっかりしている場合には「エクストルージョン(歯根挺出術・矯正的挺出術)」や「クラウンレングスニング(歯冠長延長術)」を行うことで抜歯せずに治療できることがあります。
「クラウンレングスニング」は、歯ぐきや骨を少し下げて、歯ぐきの下にある健康な部分を歯ぐきの上に露出させます。歯ぐきを下げた後は、数ヶ月かけて徐々に歯ぐきの位置が落ち着いてきます。十分な期間 歯ぐきの治りを待ってかぶせる処置を行います。
「エクストルージョン」は、埋もれた歯の根っこを歯ぐきの上まで引っ張り出す方法です。歯の根っこに金属のフックを取り付けて部分矯正用のゴムの力でゆっくり引き上げます。挺出された歯根の頭を使ってかぶせ物を入れるので、歯根が短くなる分、他の歯より噛む力のコントロールに注意が必要となります。
歯周病がかなり進行している場合や根っこが割れている場合などは残念ながら抜歯となるのでしっかりとした診査、診断が大切です。
かぶせ物に隠れていて見えない土台の歯。気づかないうちにむし歯が進行して治療が手遅れになってしまうことがしばしばあります。早期発見するためにもお口にかぶせ物がある方は日頃のお口のケアに加えて定期的に歯科のメインテナンスに通ってレントゲン検査などによる歯の状態チェックや歯磨き指導、プロフェッショナルケアを受けるようにしましょう!