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歯周病と認知症の驚きの関係

 歯周病は歯周病菌が歯ぐきに炎症を起こし、徐々に周りの組織を破壊していく細菌感染症です。
 多くの研究から、歯周病が全身の健康に関わっていることが分かってきました。歯周病菌やその菌が作りだした毒性物質が炎症を起こした歯ぐきの内部に入り込み、血流に乗って全身を移動しながら増殖したり、炎症物質を生みだすことで全身に悪影響を及ぼすと考えられています。現在、100以上の病気と歯周病は関連があると言われており、特に、心臓血管疾患、糖尿病、低体重児出産などを引き起こすリスクが高まることは、よく知られるようになってきました。

 近年、歯周病と認知症の関連が注目を集めています。厚生労働省によると今後認知症の高齢者はさらに増加し、2年後には65歳以上の5人に1人が認知症を発症するとされています。
 「重度の歯周病を患う人は認知症になりやすい」
 「歯周病にかかっている認知症の患者さんは、認知症の症状の進行が速い」
という報告がつぎつぎと報告されています。


 認知症の原因のひとつとされているのがアミロイドβです。アミロイドβは、健康な人の脳にも存在し、通常は短期間で排出されますが何らかの理由で排出されずに蓄積してしまうと、脳の機能を低下させ、徐々に脳細胞を破壊し、脳を萎縮させてしまいます。
 
 認知症を防ぐためには、アミロイドβの蓄積を防ぐ必要があります。
 歯周病になると、アミロイドβが激増するってご存じですか?
 
 ある研究で歯周病にもっとも関係するPg菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス菌、歯周病菌のひとつ)が起こす炎症によってアミロイドβが体内に増えること、さらにPg菌がアミロイドβを脳内へと誘導していることが明らかになりました。

 皆さまは歯周病治療や定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けていらっしゃいますか?

 認知症の発症抑制には、歯周病治療と予防メインテナンスが有効であることがわかってきました。

 歯周病の初期症状は気付きにくく、気付かないうちに進行してしまいます。症状に気付く頃には、歯周病が進行していることもめずらしくありません。
 歯周ポケットにたまったプラークや歯石は歯周病菌にとって居心地のいい場所です。歯石をそのままにしておくと、歯石の表面がデコボコしていることで、さらにプラークがつきやすくなり、エサを与えて培養しているような状態になってしまいます。

 歯周病予防の基本は、毎日の歯磨き(セルフケア)と定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けて、お口の中の状態を健康に保つことです。

 脳の健康のためにも、歯科医院での継続的な歯周病治療、定期的なプロフェッショナルケアを受けましょう!
 
 
 
 


舌の痛みって何が原因しているの?

舌に痛みを感じたことはありますか?
舌がピリピリしたことはありませんか?
舌が痛む原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

舌を噛んだときにできる傷

入れ歯や欠けた歯、むし歯が原因で舌にできた傷によるもの
 
口内炎
 舌の痛みの中で、もっとも多いのが「口内炎」です。疲れた時やビタミンB群やビタミンCの不足が口内炎の原因のひとつと考えられています。

カンジダ症
 カンジダ症の原因は真菌という『カビ』です。カビといわれると、びっくりされる方も多いと思いますが実は、カビは口腔内の常在菌(いつもいる菌)で健康な方にも唾液1mlあたり、10~100個存在しています。全身の抵抗力が著しく落ちたり、抗生剤やステロイド剤の長期間投与、口腔乾燥、義歯の取り扱いの不備などが原因してカビが増殖し、口腔カンジダ症が発症します。

ドライマウス
 唾液には食べ物の消化を助けたり味を感じやすくしたりする働きのほかに口腔粘膜を潤して保護する保湿作用があります。唾液の分泌量は20代で最も多く、30代以降で減少、70歳を超えると半分以下になるといわれています。ドライマウスは様々な原因で唾液の分泌量が低下し、口の中が乾燥する病気です。最近、ドライマウスと診断される患者さんは増えています。舌の痛み以外にも口の中がねばねばする、食べ物が飲み込みにくい、しゃべりにくい、よく喉が乾く、等の症状があります。
 
舌がん
 舌がんの自覚症状としては、痛みや出血があります。口内炎と見分けがつきにくいことがあるので、2週間様子をみても治らない口内炎は、一度受診されることをおすすめします。

舌のお手入れのしすぎ
 口臭予防のために毎回の歯磨き時に舌を磨いていらっしゃる方は多いと思います。しかし1日に何度も舌をこすると舌の粘膜を傷つけてしまうことがあります。朝は舌苔(ゼッタイ)の付着量が多いので、舌みがきは朝の歯みがき時に行うのがおすすめです。舌みがきに使うブラシは、歯ブラシでは汚れが取り除きにくいので専用の舌ブラシを使ってください。
 ブラシは舌の「奥から手前」に動かし、強い力で磨かないようにしましょう。口臭が特に気になる人や唾液の量が少なく口の中が乾燥する人には、殺菌・保湿成分が配合された舌ジェルをあわせて使うのがオススメです。


舌の清掃方法

舌痛症
 ①~⑦の可能性をすべて調べても特定の病気が見つからない場合は舌痛症と診断されます。痛む場所は通常、舌の先や舌の側面、ちょうど歯に触れるあたりです。舌痛症の原因は、現在の研究では残念ながら「不明」ですが、ストレスと関係が深いと言われています。

舌の痛みが長く続いたり、ご心配なことがありましたらお気軽にご相談ください。


歯の黄ばみ、気になっていませんか?

白い歯は、健康的で若々しい印象がありますが、歯が黄ばんでいると年齢が高めに見られがちです。

歯が黄ばむ原因は大きく分けて3つあります。

1. 飲食の黄ばみ

カレーなどの色の濃い食べ物やコーヒーや紅茶などの飲み物にはポリフェノールが含まれていて、このポリフェノールが唾液の中のタンパク質と結合してステイン(着色汚れ)になります。表面に付着し、たまったステインは時間が経つと歯の表面のエナメル質の中にまで浸透してしまいます。


2. タバコの黄ばみ

たばこのヤニは、ステインよりも粘着力が高く、さらに歯を黄ばませてしまうので注意が必要です。

3. 加齢による黄ばみ

歯の色って歯の表面を覆うエナメル質のすぐ内側にある象牙質の色に影響されるってご存じでしたか?

象牙質の色の強弱は人それぞれですが「黄色い」色をしています。歯の色に個人差があるのは、エナメル質の厚さや象牙質の色が人それぞれ違うためです。

歯を長年使っていると、歯の表面を覆っているエナメル質が徐々にすり減って薄くなります。歯のエナメル質が薄くなると、象牙質の色が透けて見えるようになり、歯が黄色く見えます。

また、象牙質は加齢によって徐々に黄色みが強くなることもわかっています。

タバコや着色の可能性が高いものを控えることで歯の黄ばみを防ぐことはできますが、日々のケアとしておすすめなのが美白歯磨剤です。

美白歯磨剤は、ステインを落とします。ステインを落とす歯磨き粉は「ピロリン酸ナトリウム」「ポリリン酸ナトリウム」「ポリエチレングリコール」「ポリビニルピロリドン」などの成分が含まれたものを使用するのがおすすめです。


・ピロリン酸ナトリウム

ステインを浮かせて落とします。ステインが歯の表面から浮き上がるため、ブラッシングによりステインを除去することができます。

・ポリリン酸ナトリウム

ステインを落とすと同時に、歯の表面をコーティングすることでステインの付着を防ぎます。

・ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン

タバコのヤニを除去するはたらきを持つ成分です。

美白歯磨剤選びの参考にしてください。

一方、歯科医院で行うホワイトニング治療で用いる薬剤には「過酸化水素(もしくは過酸化尿素)」という薬剤が配合されており、歯そのものを白くします。市販の美白歯磨剤と歯科医院で行うホワイトニング治療では目的が違います。

歯を今よりも白くしたい場合は歯科医院でのホワイトニング治療をおすすめいたします。


歯の白さの一つの指標として〈眼球の白い部分〉と〈歯の色〉が同じ程度に白いと、バランスが良い印象を与えるそうです。

ご興味のある方はぜひご相談ください。


歯の神経ってどういう役割があるの?

虫歯の治療をした時に

「歯の神経のところまではむし歯は進行していませんでした」

「歯の神経が炎症を起こしています」

など、「歯の神経」という言葉をよく耳にされると思います。



「歯の神経」は歯のどの部分にあって、どのような役割をするのでしょうか?

歯の神経は「歯髄 しずい」と呼ばれています。

歯は、表面の部分がエナメル質という硬い組織で覆われています。そしてエナメル質の下には、象牙質というエナメル質より柔らかい組織があり、そしてその内側に歯髄があります。

歯髄の働きには次のようなものがあります。

1.歯に栄養を与える

歯髄には多数の毛細血管が存在しています。カルシウムやミネラルなどの栄養を血管を通して象牙質に運んでいます。歯に栄養を供給することで強度を保っているため、歯髄を取り除く処置をした場合、歯が脆くなってしまいます。

2.歯に加わる刺激を感じる

「歯が痛くて眠れません。」

「食事をすると歯に痛みを感じます」

患者さんが歯科に来院された際、よくお聞きする症状です。

歯の痛みはどうして起こるのでしょうか?

歯の痛みは、歯髄に刺激が加わり、そこから脳にシグナルが送られることで起こります。歯の神経は実はすべての刺激を「痛い」としてしか感じることができません。冷たいものも「痛い」熱いものも「痛い」というように、刺激を脳に伝えています。

3.細菌感染に対して免疫反応を起こす

歯髄にある様々な免疫細胞が細菌に抵抗したり、象牙質に刺激が加わると、「第二象牙質」とよばれる壁を作ってその刺激を遮断するなど、歯髄には防御機能もあります。

歯髄はむし歯や外傷によって歯髄が感染したり、壊死したりすると歯髄を取り除く「根管治療」が必要になります。細菌に侵された歯髄や血管を放置していると腫れたり歯を抜くリスクが高くなりますが、「根管治療」を行い、感染した歯髄や血管を除去して消毒すれば、歯を抜かずに残すことができます。

根管治療を受けた後の歯の寿命はおよそ11年であることが、ある研究で報告されています。また、歯髄を取り除いた歯は、次に虫歯になっても、「痛い・しみる」などの自覚症状を感じないため、かなり悪化してからしか気づけないことが多くなります。

大切な歯を守るために、歯の寿命を左右する歯髄を失わないようにしましょう。

そのためには、日頃のお口のケアはもちろん、歯科での定期検診とプロフェッショナルクリーニングを受けることがとても大切です。定期検診を受けていない方は定期検診を受けている方と比べて6倍歯をなくしやすくなるというデーターもあります。

歯科の定期検診を家族みんなの習慣にして家族のお口の健康を守りましょう!



インプラントを入れた後はどういうことに気をつけたらいいの?

インプラント治療を希望される患者さんは年々増加傾向にあります。

インプラント治療は見た目の美しさだけでなく、健康な歯に負担をかけず、ご自分の本当の歯のようにしっかり噛めることがメリットです。それでも天然歯との間には違いがあり、その違いを知っていただくことがとても大切です。



<天然歯とインプラントとの違い>

インプラントには歯根膜がない

歯根膜は、噛み合わせの力を逃がすクッションの役割を果たしています。天然歯の場合、歯根膜があることで硬い食べ物は力を入れて、やわらかい食べ物は軽い力でという風に、食べ物によって噛む力を適切にコントロールして噛むことが出来ます。歯根膜があるおかげで歯に加わる過剰な力が和らぎ、顎の骨や歯にダメージが及ばないようになっています。一方、インプラントには歯根膜がなく、顎の骨とインプラントが直接くっついているためダイレクトに力が加わります。そのため、噛み合わせに問題がある場合や歯ぎしりのクセがある場合などは、顎の骨やインプラントに負担がかかってしまいます。歯ぎしりや食いしばりなどの癖をお持ちの方は、インプラントを守るために、夜間はマウスガードを使って歯を保護するなどの対策をとることが重要です。



天然歯と比べると感染に弱い状態になっている

天然歯は細菌が簡単に入り込まないような構造になっていますが、インプラントは天然歯に比べて感染しやすい状態になっています。

「インプラント周囲炎」という言葉をお聞きになったことはありますか?

インプラントのまわりの組織で起こる炎症「インプラント周囲炎」は自分一人の力では早期発見が難しく、症状が深刻になってから発覚するといったパターンが多いです。進行するのが非常に速い点にも注意が必要です。インプラント周囲炎は、そのまま放っておくと歯周病と同じように、インプラントを支える骨が溶けてしまい、埋め込んだインプラントがぐらつき、最終的には抜け落ちてしまうことがあります。



インプラントを良好な状態で維持するためには日々のお口のケアがとても大切です。歯ブラシだけではすべての汚れを落とすことが難しいので、歯間ブラシやデンタルフロスも併用して細かな汚れを落としましょう。

インプラントの状態やお口の清掃状態を確認するために定期健診を受けていただくことも重要です。

定期健診では、骨やインプラントの状態を確認するためにレントゲン撮影をしてインプラントがしっかり定着しているかを確認します。また、インプラントに強い力がかかり過ぎていないか、噛み合わせのチェックも行います。



また、インプラント周囲炎の予防のためにも、磨き残しの部分がどこかを患者様に確認していただき、ケア方法をご提案します。そして日々のケアでは落としきれない汚れを歯科医院専用の機械で落とします。

インプラント治療は治療終了後のケアがとても大切であることをご理解いただき、歯を失った場合の治療の選択肢の一つとしてご検討いただければと思います。