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国民皆歯科健診って何?

先月、政府は全ての国民に毎年の歯科検診を義務づける「国民皆歯科健診」の導入に向け、検討する方針をまとめました。実施について、日本歯科医師会は今後3年から5年をめどに取り組みを進めていく考えを示しました。詳細に関してはこれから議論されていく段階です。

現在、日本では高校生までは歯科健診が義務付けられていますが、大学生や社会人は対象となっておらず、自治体や企業などによって健診の在り方が違います。約7割の自治体では、40歳から10年ごとの節目に歯周病検診などがあります。

どうしてこの制度が大事なのでしょうか?

日本では歯科の受診率が非常に低く、痛くなったら歯科医院を受診するという人が多いのが現状です。厚労省の歯科疾患実態調査によると30~50才の40%程度、50才以上の55%程度が中等度以上の歯周病に罹患しており、これを放置すると中高年で歯を失い始めます。歯周病は“沈黙の病”とも言われ重度になるまで自覚症状なく進行する特徴があります。歯が揺れる・歯肉が腫れるなど歯周病の自覚症状があると既に手遅れになっている場合が多いです。

お口の健康が全身の健康と密接に関係していることはご存じの方も多いと思います。

お口の健康が、全身の健康とどのような関わりあいがあるのでしょうか。

①誤嚥性肺炎や糖尿病、心臓病、脳梗塞、早産の予防につながる

②嚙んだり、飲み込んだりできる歯と口を維持することは、認知機能の低下を防ぎ、介護予防にも有効

③口腔内をキレイに保っていると全身の病気で入院された際の治癒が早くなり入院期間も短くなることが分かっている

また、最近の認知症の保険ではどれだけ噛み合う歯が残っているかで保険料が違ってきています。

国民皆歯科健診を行うことで歯科疾患の早期発見・早期治療を行い、その結果お口の健康、全身の健康増進につながり、平均寿命と健康寿命の差を縮め医療費の減少をもたらすことが期待されています。

ただ、まだ一般的に健診の重要性が周知されているわけではないので、色々なエビデンスを示しながら理解を深めてもらうことが必要です。

これから制度を具体化していくうえで、全国民に義務付けるのか、実施主体をどうするのか、実際に健診を行う人材の確保や全額公費でできるのかなどの費用面の議論が必要と言われています。

何歳になっても自分の歯でおいしく食事をしたい!

それはみなさんが思われると思います。「お口は健康の入り口」とも言われ、お口の健康を保つことが全身の健康を手に入れる第一歩になります。

「もう治ったのに、なんで行かなくちゃいけないのだろう」と思う方も多いかと思います。

全身の健康から考えても、歯科の定期健診が大切なことをこれからも発信していきたいと思います。