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できるだけ歯髄を取らないために

いわゆる歯の神経とは「歯髄」という組織のことで、歯に栄養を運ぶだけではなく、歯に伝わるさまざまな刺激を感じて、人の中枢に伝えます。また、外部の刺激に対して歯を守る役割を担っています。

そのため、歯髄を失った歯はもろくなり、歯を失う大きな原因となる歯根破折をおこしやすくなります。つまり、歯髄を失うことは歯の寿命を縮めることに直結しているのです。



 

さて、歯の神経の近くまで進行した大きな虫歯は、歯髄が炎症を起こしやすい状態にあるため、治療後に歯に痛みがでることがあります。



いなだ歯科では歯を守るためには歯髄を残すことが大切であると考え、治療を行っています。

歯の神経の近くまで進行した大きなむし歯を治療する場合、歯髄が炎症をおこさないように歯髄を守る処置を行い、仮詰めの状態で1ヶ月程度経過を観察し、お痛みなどの症状がでないかを確認してから最終の治療を行うようにしています。

ただし、歯にズキズキ痛みがある場合は、治療対象にはなりません。また、すべての方の歯髄を残せるわけではありません。やむを得ず神経を取る場合もあります。

この治療法は治療が終わるまで時間がかかるので、患者様にも理解していただく必要があります。治療直後は一時的に歯が過敏になり、冷たいものなどでしみたり痛む場合があります。通常これらの症状は軽減・消失していきますが、改善されない場合はご連絡ください。

大切な歯を守るための治療です。ご理解いただければ幸いです。


舌がんについて

お口の中にも「がん」ができることをご存知でしょうか?

お口にできる「がん」を「口腔(こうくう)がん」と言います。

口腔がんは全てのがんの約1~2%、年間約7,800人が罹るといわれています。60歳台から増えはじめ、高齢になるほど罹り易くなっていきます。患者さんの数はやや男性に多いです。私も歯科医師になってから2名の方の舌ガンを発見しました。

口腔がんは歯ぐきや頬の粘膜などお口のあらゆるところにできますが、最もできやすい場所は舌です。最近の報道で舌がんが注目されるようになりました。

舌がんは舌の表面や先舌の先端にできることは少なく、ほとんどが舌の横にできます。

 

舌がんの典型的な症状は、硬いしこりです。ただし、初期の舌がんは口内炎に似ているため、正確に見極めることが難しい場合もあります。処方された薬を使用しても、口内炎のようなしこりが2週間近く治らないようであれば、専門機関に相談してください。

このほか
・舌から出血がある
・舌などにしびれやまひ感がある
・舌が動かしにくい
などの症状があれば迷わず専門機関を受診しましょう。

 

日常生活の中で気を付けることは、まずはタバコ、お酒を控えることです。この2つは口腔がんの最大のリスクで、たばこを吸う人は吸わない人の約7倍、飲酒の習慣のある人は、ない人に比べて約6倍、口腔がんが発生するという調査結果があります。

また、口の中が傷つくことで口腔がんの危険性が高まると指摘されています。壊れた入れ歯や合わない入れ歯、壊れた被せ物などを放置せずに治療するようにしましょう。

もしご心配なことがあれば、ご相談ください。


あなたは「口呼吸」or「鼻呼吸」?

自分の呼吸、意識したことがありますか?

呼吸には、口から空気を肺に取り込む口呼吸と、鼻から空気を取り込む鼻呼吸があります。
本来、呼吸は鼻でするものであり、口で行うものではありません。

気がついたら口が開いていて、口呼吸をしている方はいませんか?鼻が詰まっている時などに口呼吸をして、お口の中や喉がカラカラに乾燥してしまったという経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?

では、口呼吸は何が問題なのでしょうか?

口呼吸は、みなさんが想像されているより、はるかに体に影響があり、健康を左右するといっても過言ではありません。

<口呼吸による様々な問題>

1.風邪・アレルギー鼻炎・喉の疾患になりやすい

空気中の無数のホコリや花粉、目に見えないウィルスや化学物質など、私達にとって好ましくない物をダイレクトに体内に取り込んでしまうため、免疫力が低下します。

鼻から入った空気はこれら異物の多くが除去されるので、口から入る空気より、感染症にかかるリスクが少なくなります。

2.虫歯や歯周病になりやすく、口臭の原因にもなる

口腔内が乾燥するので、唾液による殺菌や消毒作用が発揮されず、口の中は雑菌などが常に繁殖しやすい状態になります。むし歯や歯周病が起こりやすく、口内炎、ヘルペスなどもできやすくなります。

3.くちびるがカサカサになる

4.口まわりの筋力の低下によって面長・たるみがちな顔つきになる

5.歯並びや姿勢が悪くなる

歯は、頬や唇の筋肉、舌などがそれぞれに機能した状態で、力のバランスがつり合った所に並ぶようになっています。口が開いている時間が長いと、唇などの筋肉がうまく発達せず、本来、歯を外側から抑えている力が弱くなるため、歯が前に出てきてしまいます。

<口呼吸の自己チェック>
□いつも口を開けている
□口を閉じると、あごにウメボシ状のシワができる
□食べるときにクチャクチャ音をたてる
□朝、起きたときにのどがヒリヒリする
□歯のかみ合わせが悪い
□くちびるがよく乾く
□イビキや歯ぎしりがある
□口臭が強い
□タバコを吸っている
□激しいスポーツをしている
(出典:今井一彰 免疫を高めて病気を治す口の体操「あいうべ」 マキノ出版 2008年)

口呼吸を直すには、口呼吸を無意識のうちにやっているということをしっかり認識しておかなくてはいけません。まず、鼻呼吸に気づくこと。そして、呼吸に意識を向けてもらうことが治癒への第一歩になります。舌を上顎につけて唇を閉じ、軽く上下の歯を噛んで鼻呼吸する様にしましょう。

以前マメ知識のページでご紹介した「あいうべ体操」は簡単にいえば、鼻呼吸に変える体操です。こちらも是非実践してみてください。



 

https://www.inada-dental.com/news/news/129

 


その痛み、歯が原因ではないかもしれません

歯の痛みが口全体に広がって、どの歯が痛いかわからなくなったことはありませんか?

 

下の奥歯にむし歯があって痛みの原因となっていても、上の奥歯が痛いと錯覚を起こすこと、実は珍しくありません。隣り合ってる歯同士であれば、どの歯が本当に痛いのかわからないこともしばしばです。

上の歯の痛みは顔面の知覚、運動をつかさどる脳神経である三叉神経の2番目の枝、下の歯の痛みは三叉神経の3番目の枝によってそれぞれ伝えられます。同じ神経から伝達される信号を脳自身が正確に判別できなくなっているからです。どの歯が痛いか言い当てるのが難しいのは当然です。

 

・歯が痛みの原因なのか

・どの歯が痛みの原因なのか

・痛みの原因となっている歯がどのような状態なのか

私達は、歯の表面に刺激を与えて痛みの強さ、痛みがどれだけ長引くかなどを診査したり、上下の歯を同時に見ることのできる口全体のレントゲン写真を撮るなどして診査診断を行います。

歯に原因がなくても頭痛や帯状疱疹、蓄膿症、三叉神経痛などが原因となって歯や歯ぐきに痛みを感じることがあります。その場合、歯の治療をしても痛みを取り除くことはできないので、医科などの専門の先生での治療が必要となります。

お痛みのある歯に刺激を与えるのは、心苦しいですが、正確な診査・診断のためにご協力ください。

痛みが気になる場合はできるだけ早い段階での受診をお勧めいたします。


歯周病を防ぐことが認知症の予防になるってご存知でしたか?

要介護になる原因は脳卒中が1位、認知症は2位です。

厚労省は国内の認知症患者が2025年に700万人を超えるという予想を発表しています。認知症は誰の身にも起こりうる国民病ともいえますが、現段階では認知症に対し,明らかな改善効果がみられていないのが現状です。

歯肉の炎症が全身に多くの影響を与えることはこれまでの研究で明らかになってきています。歯周病菌は腫れた歯肉から容易に血管内に侵入し全身に回ります。

認知症の正体は「脳の炎症」。その炎症も「慢性の長く続く小さな炎症」の影響が多く、その代表例が「歯周病」です。認知症と歯周病の関係を解明するために、歯周病菌に感染させたマウスを使った実験が行われました。その実験では、歯周病にかかるとアルツハイマー型認知症の原因とされている物質が脳の中で増えて、沈着することがわかりました。

おいしく物を食べるためには、自分自身の歯を1本でも多く残して咀嚼力を維持することが不可欠です。しっかり噛むことが心身の状態に与える影響は非常に大きく、脳の活性化、老化・がんの予防、虫歯・歯周病予防、ストレスの解消などの効果が得られると言われています。

歯が多く残っている人ほど年間の医療費用が少ないというデータもあります。日本歯科医師協会が全国の40歳以上、約1万9,000人を対象に行った調査では、残存歯数が20本以上ある人は0~4本の人よりも年間の医科医療費が平均で17万5,900円も低いという結果が出ています。

歯周病や虫歯を予防し、高齢になっても歯を多く残していくためには、毎日のセルフケアも大事ですが、定期的な歯科検診が重要な役割を果たします。万一、歯を失うことになっても義歯やインプラントなどでしっかりと補う治療をすればお口の健康は保てます

お口の健康を保って、認知症予防や健康長寿につなげていきましょう!