血液をサラサラにするお薬を飲まれていませんか?
統計では、65歳以上の方の約6割が循環器系の問題を抱え、多くの患者さんが血管が詰まらないように血液をサラサラにするお薬を飲んでいるということです。
今回は、歯科治療を受けていただくにあたって注意が必要なお薬のうち、「血液をサラサラにするお薬」についてお話ししたいと思います。
「血液をサラサラにするお薬」として知られる抗血栓薬は、名前のとおり、血栓(血の塊のようなもの)を治療するための薬です。血栓ができ血流にのって全身に運ばれ、脳や心臓の血管を詰まらせることによって起こる脳梗塞、心筋梗塞などを防ぎます。現在日本国内で100万人が服用しているといわれる大変ポピュラーなお薬です。
抗血栓薬は以下の3種類に分類されます。
①血栓溶解薬(代表的なお薬:アルテプラーゼ)
②抗血小板薬(代表的なお薬:アスピリン)
③抗凝固薬(代表的なお薬:ワーファリン)
学会が合同でまとめたガイドラインによるとINR値(血のサラサラ度合を示す指標で、ワーファリンコントロール時に用いる)が1.6~3.0の範囲であれば,通常の抜歯で重篤な抜歯後の出血はみられず、合併症もみられないとしています。
また、アスピリンなどの抗血小板薬を休薬せずに抜歯した場合、術後出血は0~2%で発生したが重篤なものはなく、局所止血で処置が可能であったとの報告があります。
INRの数値が高い場合など、抜歯がむずかしい場合は、患者さんの体調に問題がない範囲で医科の主治医の先生に投薬のコントロールをお願いすることもあります。
「血が止まらないと困るから」と自己判断で休薬するのはやめてください。しっかりと止血処置(止血剤を抜歯した穴に入れ、傷口を縫合。処置後しばらくはガーゼをかんでいただきしっかりと止血します)をさせていただきますので、安心していつもどおりの服用を続けましょう。
初診の時にご記入いただく問診票では、他科で受診中の治療や服用されているお薬についてお聞きする項目があります。必要に応じて医科の先生と連携をとって治療をすすめていくためにとても大切ですので、忘れずにご記入ください。
また、歯科治療の内容や現在の健康状態によっては、総合病院や大学病院の口腔外科など、全身管理の設備が整った病院歯科をご紹介する場合もございますので、ご了承ください。