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その症状、飲んでいるお薬が影響しているかもしれません

「最近、なんだか口の中が乾燥するようになってきた」
「毎日歯磨きをしているのに歯ぐきがぷっくりと腫れている」
「口内炎がひんぱんにできるようになった」

 このような症状は飲んでいらっしゃるお薬が影響している可能性があります。

 超高齢社会といわれる現在、複数のお薬を飲んでいらっしゃる方が増えています。飲んでいらっしゃるお薬によっては、お口の状態に影響したり、歯科治療後に痛みや腫れ、治りが悪くなったりすることがあるので注意が必要です。

 病院や薬局に行かれる際には「お薬手帳」を持っていかれると思います。歯科でも「お薬手帳」を持っていく必要があるの?と思われるかもしれませんが、患者さんの持病や服用しているお薬について把握し、配慮することが安全に歯科治療を行ううえでとても重要なので是非お持ちください。治療を進めていくなかで患者様のかかりつけ医にご相談させていただくこともございます。


①    歯ぐきの腫れ
 歯ぐきの腫れの原因として多いのは歯肉炎や歯周炎ですが、薬の副作用でも腫れることがあるのをご存じですか?
 副作用として歯肉の腫れが報告されている代表的なお薬をご紹介します。
  1.けいれんを止める抗てんかん薬のフェニトイン(商品名:アレビアチン、ヒダントールなど)
   フェニトインが入った薬を長期服用した場合、副作用として50%以上の方に歯ぐきの腫れが
   認められるという報告があります。
  2.高血圧治療薬のうちカルシウム拮抗薬(商品名:ニフェジピン、アムロジンなど)
   カルシウム拮抗薬を長期間服用している人で歯ぐきの腫れが認められる割合は約20%と
   言われています。
  3.臓器移植や自己免疫の病気で用いられる免疫抑制剤シクロスポリン
   (商品名:サンディミュン、ネオラールなど)

 軽度の場合は歯と歯の間の歯ぐきが少し腫れる程度ですが、重症化すると歯が隠れるほど歯茎が腫れることもあります。
 重症化しやすい傾向としては
  1.口腔内の清掃状態が悪い
  2.年齢が若い
  3.服用量が多い
 です。

 歯ぐきの腫れの予防には日々のブラッシングと歯科医院でのメインテナンスが重要です。歯石がついていると歯ぐきへの刺激となり歯ぐきの腫れがおこりやすくなります。歯科医院で定期的にメインテナンスを受けていただき歯石や磨き残しをチェックし、お口の中をきれいに保つことが大事です。歯が隠れるほど歯茎が腫れている場合、歯ぐきの腫れによって歯磨きが難しくなるという悪循環に陥るため、歯肉を切除する場合もあります。

②    歯ぐきからの出血
 心筋梗塞や心房細動,脳卒中などの治療のため、血液をサラサラにするお薬(抗血栓薬・抗凝固薬)を飲まれている方も多くなってきています。
 歯磨きや食事をしている際に歯ぐきから出血する場合、その原因の多くは歯肉炎や歯周炎ですが、血液をサラサラにするお薬を服用していて歯ぐきが傷つくと出血がなかなか止まらないことがあります。
 また、歯科の治療で抜歯、インプラント、歯周外科治療、深い歯石の除去などの処置に関しては出血のコントロールに注意が必要です。歯科治療の時に出血が止まらないと困ると言ってご自身の判断で服用は止めないでください。

③    口の中が乾燥する
 口の中が乾燥する原因として薬の副作用以外にも年齢的なものやストレス、口呼吸などがあげられます。
 唾液の分泌が低下して、お口が乾いた状態を引き起こす可能性のある薬剤は、
 ・抗アレルギー薬
 ・抗うつ薬
 ・抗不安薬
 ・抗パーキンソン病薬
 ・降圧薬
 などがあげられます。
 日本医薬品集に掲載されている薬剤全体の約1/4である700種類以上に口渇、口内乾燥、唾液分泌減少の副作用がみられるそうです。
 
 軽度では口の中がネバネバしたり、ヒリヒリしたりします。プラークが歯の表面に付着しやすくなって口臭やむし歯の原因にもなります。重度になると、強い口臭、舌表面のひび割れ、痛くて食べ物が食べにくい、会話がしづらいなどの症状がでてきます。
 
 治療としては、生活指導や対症療法が中心となります。唾液の分泌量が増えるように唾液腺マッサージをしたり、保湿性薬剤、保湿性の高い洗口液、保湿ジェル、スプレーなどを使用したり、こまめに水分補給をするように心がけることも有効な方法です。

④    口内炎ができやすい
 口内炎ができやすい服用薬の代表薬は抗がん剤です。
 がん治療中は抗がん剤治療、放射線治療に伴う免疫力の低下によって、高い頻度で口内炎を発症します。

 その他抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、降圧薬(Ca拮抗薬)、抗てんかん薬、免疫抑制薬などが原因でも口内炎を発症することがあります。

 口内炎がいつまでも治らなかったり、急激に悪くなったりするような場合は、放置せずご相談ください。

 より安全な歯科治療を行うためには持病やお薬の情報は欠かせません。歯科を受診される際にも「おくすり手帳」をご持参ください。
 また、お薬に変更がある場合や新しい薬を追加処方された場合などはその都度お知らせください。


歯周病と認知症の驚きの関係

 歯周病は歯周病菌が歯ぐきに炎症を起こし、徐々に周りの組織を破壊していく細菌感染症です。
 多くの研究から、歯周病が全身の健康に関わっていることが分かってきました。歯周病菌やその菌が作りだした毒性物質が炎症を起こした歯ぐきの内部に入り込み、血流に乗って全身を移動しながら増殖したり、炎症物質を生みだすことで全身に悪影響を及ぼすと考えられています。現在、100以上の病気と歯周病は関連があると言われており、特に、心臓血管疾患、糖尿病、低体重児出産などを引き起こすリスクが高まることは、よく知られるようになってきました。

 近年、歯周病と認知症の関連が注目を集めています。厚生労働省によると今後認知症の高齢者はさらに増加し、2年後には65歳以上の5人に1人が認知症を発症するとされています。
 「重度の歯周病を患う人は認知症になりやすい」
 「歯周病にかかっている認知症の患者さんは、認知症の症状の進行が速い」
という報告がつぎつぎと報告されています。


 認知症の原因のひとつとされているのがアミロイドβです。アミロイドβは、健康な人の脳にも存在し、通常は短期間で排出されますが何らかの理由で排出されずに蓄積してしまうと、脳の機能を低下させ、徐々に脳細胞を破壊し、脳を萎縮させてしまいます。
 
 認知症を防ぐためには、アミロイドβの蓄積を防ぐ必要があります。
 歯周病になると、アミロイドβが激増するってご存じですか?
 
 ある研究で歯周病にもっとも関係するPg菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス菌、歯周病菌のひとつ)が起こす炎症によってアミロイドβが体内に増えること、さらにPg菌がアミロイドβを脳内へと誘導していることが明らかになりました。

 皆さまは歯周病治療や定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けていらっしゃいますか?

 認知症の発症抑制には、歯周病治療と予防メインテナンスが有効であることがわかってきました。

 歯周病の初期症状は気付きにくく、気付かないうちに進行してしまいます。症状に気付く頃には、歯周病が進行していることもめずらしくありません。
 歯周ポケットにたまったプラークや歯石は歯周病菌にとって居心地のいい場所です。歯石をそのままにしておくと、歯石の表面がデコボコしていることで、さらにプラークがつきやすくなり、エサを与えて培養しているような状態になってしまいます。

 歯周病予防の基本は、毎日の歯磨き(セルフケア)と定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けて、お口の中の状態を健康に保つことです。

 脳の健康のためにも、歯科医院での継続的な歯周病治療、定期的なプロフェッショナルケアを受けましょう!
 
 
 
 


舌の痛みって何が原因しているの?

舌に痛みを感じたことはありますか?
舌がピリピリしたことはありませんか?
舌が痛む原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

舌を噛んだときにできる傷

入れ歯や欠けた歯、むし歯が原因で舌にできた傷によるもの
 
口内炎
 舌の痛みの中で、もっとも多いのが「口内炎」です。疲れた時やビタミンB群やビタミンCの不足が口内炎の原因のひとつと考えられています。

カンジダ症
 カンジダ症の原因は真菌という『カビ』です。カビといわれると、びっくりされる方も多いと思いますが実は、カビは口腔内の常在菌(いつもいる菌)で健康な方にも唾液1mlあたり、10~100個存在しています。全身の抵抗力が著しく落ちたり、抗生剤やステロイド剤の長期間投与、口腔乾燥、義歯の取り扱いの不備などが原因してカビが増殖し、口腔カンジダ症が発症します。

ドライマウス
 唾液には食べ物の消化を助けたり味を感じやすくしたりする働きのほかに口腔粘膜を潤して保護する保湿作用があります。唾液の分泌量は20代で最も多く、30代以降で減少、70歳を超えると半分以下になるといわれています。ドライマウスは様々な原因で唾液の分泌量が低下し、口の中が乾燥する病気です。最近、ドライマウスと診断される患者さんは増えています。舌の痛み以外にも口の中がねばねばする、食べ物が飲み込みにくい、しゃべりにくい、よく喉が乾く、等の症状があります。
 
舌がん
 舌がんの自覚症状としては、痛みや出血があります。口内炎と見分けがつきにくいことがあるので、2週間様子をみても治らない口内炎は、一度受診されることをおすすめします。

舌のお手入れのしすぎ
 口臭予防のために毎回の歯磨き時に舌を磨いていらっしゃる方は多いと思います。しかし1日に何度も舌をこすると舌の粘膜を傷つけてしまうことがあります。朝は舌苔(ゼッタイ)の付着量が多いので、舌みがきは朝の歯みがき時に行うのがおすすめです。舌みがきに使うブラシは、歯ブラシでは汚れが取り除きにくいので専用の舌ブラシを使ってください。
 ブラシは舌の「奥から手前」に動かし、強い力で磨かないようにしましょう。口臭が特に気になる人や唾液の量が少なく口の中が乾燥する人には、殺菌・保湿成分が配合された舌ジェルをあわせて使うのがオススメです。


舌の清掃方法

舌痛症
 ①~⑦の可能性をすべて調べても特定の病気が見つからない場合は舌痛症と診断されます。痛む場所は通常、舌の先や舌の側面、ちょうど歯に触れるあたりです。舌痛症の原因は、現在の研究では残念ながら「不明」ですが、ストレスと関係が深いと言われています。

舌の痛みが長く続いたり、ご心配なことがありましたらお気軽にご相談ください。


歯の黄ばみ、気になっていませんか?

白い歯は、健康的で若々しい印象がありますが、歯が黄ばんでいると年齢が高めに見られがちです。

歯が黄ばむ原因は大きく分けて3つあります。

1. 飲食の黄ばみ

カレーなどの色の濃い食べ物やコーヒーや紅茶などの飲み物にはポリフェノールが含まれていて、このポリフェノールが唾液の中のタンパク質と結合してステイン(着色汚れ)になります。表面に付着し、たまったステインは時間が経つと歯の表面のエナメル質の中にまで浸透してしまいます。


2. タバコの黄ばみ

たばこのヤニは、ステインよりも粘着力が高く、さらに歯を黄ばませてしまうので注意が必要です。

3. 加齢による黄ばみ

歯の色って歯の表面を覆うエナメル質のすぐ内側にある象牙質の色に影響されるってご存じでしたか?

象牙質の色の強弱は人それぞれですが「黄色い」色をしています。歯の色に個人差があるのは、エナメル質の厚さや象牙質の色が人それぞれ違うためです。

歯を長年使っていると、歯の表面を覆っているエナメル質が徐々にすり減って薄くなります。歯のエナメル質が薄くなると、象牙質の色が透けて見えるようになり、歯が黄色く見えます。

また、象牙質は加齢によって徐々に黄色みが強くなることもわかっています。

タバコや着色の可能性が高いものを控えることで歯の黄ばみを防ぐことはできますが、日々のケアとしておすすめなのが美白歯磨剤です。

美白歯磨剤は、ステインを落とします。ステインを落とす歯磨き粉は「ピロリン酸ナトリウム」「ポリリン酸ナトリウム」「ポリエチレングリコール」「ポリビニルピロリドン」などの成分が含まれたものを使用するのがおすすめです。


・ピロリン酸ナトリウム

ステインを浮かせて落とします。ステインが歯の表面から浮き上がるため、ブラッシングによりステインを除去することができます。

・ポリリン酸ナトリウム

ステインを落とすと同時に、歯の表面をコーティングすることでステインの付着を防ぎます。

・ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン

タバコのヤニを除去するはたらきを持つ成分です。

美白歯磨剤選びの参考にしてください。

一方、歯科医院で行うホワイトニング治療で用いる薬剤には「過酸化水素(もしくは過酸化尿素)」という薬剤が配合されており、歯そのものを白くします。市販の美白歯磨剤と歯科医院で行うホワイトニング治療では目的が違います。

歯を今よりも白くしたい場合は歯科医院でのホワイトニング治療をおすすめいたします。


歯の白さの一つの指標として〈眼球の白い部分〉と〈歯の色〉が同じ程度に白いと、バランスが良い印象を与えるそうです。

ご興味のある方はぜひご相談ください。


歯の神経ってどういう役割があるの?

虫歯の治療をした時に

「歯の神経のところまではむし歯は進行していませんでした」

「歯の神経が炎症を起こしています」

など、「歯の神経」という言葉をよく耳にされると思います。



「歯の神経」は歯のどの部分にあって、どのような役割をするのでしょうか?

歯の神経は「歯髄 しずい」と呼ばれています。

歯は、表面の部分がエナメル質という硬い組織で覆われています。そしてエナメル質の下には、象牙質というエナメル質より柔らかい組織があり、そしてその内側に歯髄があります。

歯髄の働きには次のようなものがあります。

1.歯に栄養を与える

歯髄には多数の毛細血管が存在しています。カルシウムやミネラルなどの栄養を血管を通して象牙質に運んでいます。歯に栄養を供給することで強度を保っているため、歯髄を取り除く処置をした場合、歯が脆くなってしまいます。

2.歯に加わる刺激を感じる

「歯が痛くて眠れません。」

「食事をすると歯に痛みを感じます」

患者さんが歯科に来院された際、よくお聞きする症状です。

歯の痛みはどうして起こるのでしょうか?

歯の痛みは、歯髄に刺激が加わり、そこから脳にシグナルが送られることで起こります。歯の神経は実はすべての刺激を「痛い」としてしか感じることができません。冷たいものも「痛い」熱いものも「痛い」というように、刺激を脳に伝えています。

3.細菌感染に対して免疫反応を起こす

歯髄にある様々な免疫細胞が細菌に抵抗したり、象牙質に刺激が加わると、「第二象牙質」とよばれる壁を作ってその刺激を遮断するなど、歯髄には防御機能もあります。

歯髄はむし歯や外傷によって歯髄が感染したり、壊死したりすると歯髄を取り除く「根管治療」が必要になります。細菌に侵された歯髄や血管を放置していると腫れたり歯を抜くリスクが高くなりますが、「根管治療」を行い、感染した歯髄や血管を除去して消毒すれば、歯を抜かずに残すことができます。

根管治療を受けた後の歯の寿命はおよそ11年であることが、ある研究で報告されています。また、歯髄を取り除いた歯は、次に虫歯になっても、「痛い・しみる」などの自覚症状を感じないため、かなり悪化してからしか気づけないことが多くなります。

大切な歯を守るために、歯の寿命を左右する歯髄を失わないようにしましょう。

そのためには、日頃のお口のケアはもちろん、歯科での定期検診とプロフェッショナルクリーニングを受けることがとても大切です。定期検診を受けていない方は定期検診を受けている方と比べて6倍歯をなくしやすくなるというデーターもあります。

歯科の定期検診を家族みんなの習慣にして家族のお口の健康を守りましょう!