インプラントを入れた後はどういうことに気をつけたらいいの?
インプラント治療を希望される患者さんは年々増加傾向にあります。
インプラント治療は見た目の美しさだけでなく、健康な歯に負担をかけず、ご自分の本当の歯のようにしっかり噛めることがメリットです。それでも天然歯との間には違いがあり、その違いを知っていただくことがとても大切です。
<天然歯とインプラントとの違い>
①インプラントには歯根膜がない
歯根膜は、噛み合わせの力を逃がすクッションの役割を果たしています。天然歯の場合、歯根膜があることで硬い食べ物は力を入れて、やわらかい食べ物は軽い力でという風に、食べ物によって噛む力を適切にコントロールして噛むことが出来ます。歯根膜があるおかげで歯に加わる過剰な力が和らぎ、顎の骨や歯にダメージが及ばないようになっています。一方、インプラントには歯根膜がなく、顎の骨とインプラントが直接くっついているためダイレクトに力が加わります。そのため、噛み合わせに問題がある場合や歯ぎしりのクセがある場合などは、顎の骨やインプラントに負担がかかってしまいます。歯ぎしりや食いしばりなどの癖をお持ちの方は、インプラントを守るために、夜間はマウスガードを使って歯を保護するなどの対策をとることが重要です。
②天然歯と比べると感染に弱い状態になっている
天然歯は細菌が簡単に入り込まないような構造になっていますが、インプラントは天然歯に比べて感染しやすい状態になっています。
「インプラント周囲炎」という言葉をお聞きになったことはありますか?
インプラントのまわりの組織で起こる炎症「インプラント周囲炎」は自分一人の力では早期発見が難しく、症状が深刻になってから発覚するといったパターンが多いです。進行するのが非常に速い点にも注意が必要です。インプラント周囲炎は、そのまま放っておくと歯周病と同じように、インプラントを支える骨が溶けてしまい、埋め込んだインプラントがぐらつき、最終的には抜け落ちてしまうことがあります。
インプラントを良好な状態で維持するためには日々のお口のケアがとても大切です。歯ブラシだけではすべての汚れを落とすことが難しいので、歯間ブラシやデンタルフロスも併用して細かな汚れを落としましょう。
インプラントの状態やお口の清掃状態を確認するために定期健診を受けていただくことも重要です。
定期健診では、骨やインプラントの状態を確認するためにレントゲン撮影をしてインプラントがしっかり定着しているかを確認します。また、インプラントに強い力がかかり過ぎていないか、噛み合わせのチェックも行います。
また、インプラント周囲炎の予防のためにも、磨き残しの部分がどこかを患者様に確認していただき、ケア方法をご提案します。そして日々のケアでは落としきれない汚れを歯科医院専用の機械で落とします。
インプラント治療は治療終了後のケアがとても大切であることをご理解いただき、歯を失った場合の治療の選択肢の一つとしてご検討いただければと思います。