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顎関節症について

顎関節症と聞いて、どんな症状を思い浮かべられますか?

「大きく口を開けられない」

「口の開け閉めで耳の前で音がしたり顎が痛む」

「硬い物を食べると顎が痛くなる」

実は一生の間で日本人の2人に1人は顎関節症の症状を経験すると言われています。



顎関節は、耳の穴の前方にあって、下顎頭という骨のでっぱりと、下顎窩という骨のへこみ、そして関節円板からできています。私達の下あごの骨と上あごの骨は離れていて顎関節の周りの筋肉や関節円板、靭帯などによって下あごの動きが上手にコントロールされています。

関節円板は、帽子のように下顎頭にぶらさがっていて、顎が動くときに、骨と骨がこすれないように、クッションの役割をしています。関節円板のおかげで、顎関節はなめらかに動くことができます。そしてこの運動が円滑に行われないと、口を開け閉めする際に顎関節やそれをコントロールする筋肉などに様々な症状が出ることになります。

顎関節症は4つのタイプに分類されます。

①顎関節には問題がないけれども顎を動かす筋肉がうまく働かなくなり、口を開けようとすると頬やこめかみの筋肉が痛む

②顎関節を取り巻く組織に無理な力がかかって傷んでしまい顎関節が痛む

③関節円板の異常により「カクンカクン」という音が出たり大きな口が開けられなくなる

④関節を作っている骨が病的に変形している

顎関節症を引き起こす原因には顎関節や顎を動かす筋肉の構造的弱さやかみあわせの悪さ、精神的ストレスなど様々なものがあり、一つ一つは大きなリスクとは言えなくても、いくつもの因子が積み重なって負担が大きくなり、その人の持っている耐久力を超えると顎関節症の症状を生じさせるという考え方が現在世界的に認められている考え方です。

顎関節症を引き起こす重要な因子として最近注目されているのが「歯列接触癖」です。



何もしていないとき上下の歯は接触していないということをご存じですか?

本来上下の歯は会話、食べ物の咀嚼、食べ物の嚥下という動作をする時に瞬間的に触れ合うだけです。接触時間を合計しても1日でわずかに20分以下です。

たとえ強くかんでいなくても上下の歯を軽く接触させただけで口を閉じる筋肉は働いています。接触が長時間になれば筋肉は疲労してきます。また口を閉じる筋肉が働くと、顎関節は押さえられることになるため、歯の接触が長時間におよぶと関節への血の巡りが悪くなり、ちょうど、正座していて足がしびれた時と同じように、感覚が敏感になって痛みを感じやすくなってしまいます。

この癖があると顎関節や筋肉に持続的な負担をかけることから、顎関節症を引き起こしやすくなることが分かってきました。しかもこの癖を治すと、大部分の患者さんの症状が改善することも明らかになりました。

「歯を接触させる癖が顎関節症の原因になっている」と認識し、「歯を離してリラックス」などの貼り紙を日常的に必ず視線に入る場所に貼るのがこの癖を直すのに効果的です。

顎関節症の治療としては、マウスピースによる治療や開口訓練、マッサージや湿布、習癖を修正する行動療法などが行われます。



頬杖をついたり片側だけで食べたりうつぶせ寝をするなど無意識に行っている日常生活の習慣でも顎関節症になるリスクがあり、生活習慣を改善するなどの家庭でのセルフケアも重要です。

気になる症状がある方はご相談ください。